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2009-12-14 20:00

その他

白河桃子の「目」~「婚活」限界を考える

婚活
東洋経済のウェブ版で掲載中の、山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代 』の著者である白河桃子のコラムから印象に残った事を紹介します。



「昭和型の結婚の限界」

2008年の第2回調査のプレスリリースによると、結婚活動をしているのは若年未婚者(20~34歳)のうち約4割で、活動の内容は友人・知人への紹介依頼や合コンが多いということです。

そして白河桃子さんは、
「明日、婚活を始めても、入籍までは2年はかかると思ってほしい」
と講演でいつも語っているそうです。
そして、白河さんが地方などを取材して実感するのは、「養ってほしい女性」の数に対して「養える」または「養う気のある」男性の数が圧倒的に足りないという、じつに単純な問題だということです。つまり、「昭和型の結婚」は既に限界を迎えているという事です。

奈良県の教訓

 
奈良県の「なら出会いセンター」の取材で入手した県作成の資料によると、奈良県は、
 「専業主婦率 全国1位」
 「女性の就業率 全国最下位」
 「出生率 ワースト4」(1.22%、平成19年度人口動態統計)。

県外で働く人が多いので、平均通勤時間も1時間強と長く、男性の帰宅時間も全国で最も遅く、夜8時過ぎというのが奈良県の実態です。

そして、女性の大学進学率は全国4位で、25~29歳までの県外転出率も全国で最も高いのです。県では「なら出会いセンター」を設立し、平成17年度より婚活事業に取り組みを始め、既に結婚報告数122組という好成績をあげているということです。

しかしデータを見る限り、ほとんどの女性が「専業主婦」を前提で婚活するので、当然、専業主婦を養える男性の数が「婚活の限界」ということになります。また、奈良県は核家族率も全国1位なので父母に経済的に頼ることができないのが実態です。

結婚は「生活必需品」から単なる「嗜好品」に!

団塊世代と違って、1980年代ぐらいから結婚は「生活必需品」ではなく、とくに女性にとって選べる結婚するもしないも自由に選べる「嗜好品」になっています。

しかし、現実は深刻で、その「よりよい結婚」を求めているうちに、多くの婚活男女が「なし崩し非婚」となる可能性は大なのです。

神戸大学准教授、宇南山卓氏は、結婚促進には、未婚者も含めた「潜在的な保育需要」に応じた保育所整備」と「企業内保育所」の整備が「必須である」とし唱えています。

男が働き、女性は家事育児」という「昭和的結婚観」からの脱却
どんなにハウツーや婚活サービスを駆使しても、「養う夫」「家庭を支える妻」という「昭和型結婚観」のままでは、「養える男性」の数には限りがあって「養える男性」の数的な限界はどうしようもありません。

婚活女性の数だけ「養える男性」、正確にいえば、「女性が働かなくても中流家庭を支えることができる男性」の数は限りなく少なくなってきているのが現実です。

この婚活の限界を突破するには、「婚活」中の男女の考え方を「男が働き、女性は家事育児がメイン」という「昭和的結婚観」からの脱却した意識変換の必要性、さらに制度の応援も必要と考えられます。

現実は「婚活力は稼ぎ力。とにかく女性も働き続けましょう」という言葉が地方に行くと、むなしくなるほど、「雇用」自体がありません。女性の「就業継続支援」と男女両方の「雇用」機会の創設は、婚活支援と同時にあるべきというのが現実的な対応だと思われます。
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